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古典ガール-高校古典の品詞分解と現代語訳-

高校古典の品詞分解と現代語訳の最強決定版です。これで定期試験やノート作り対策もばっちり。LINEで友達に広げて、カフェでワイワイ勉強会。

竹取物語 かぐや姫の昇天 現代語訳

竹取物語    かぐや姫の昇天  (地上から五尺ほど離れて並べた雲の上に)立っている(月の都から来た)人たちは、(その身につけた)衣装の美しいことは、他に似るものもない。(空を)飛ぶ車を一台伴っている。(その車には)薄い絹を張った傘をさしている。その中に王と思われる人がいて、(竹取の翁の)家に向かって、「造麻呂、出て来い。」と言うと、(さっきまであれほど)勇ましく思っていた造麻呂も、何かに酔ってしまったような気分がして、うつぶせに倒れていた。(天人の王が)言うには、「おまえ、心おろかなる者よ、わずかばかりの善行を翁が成したことによって、おまえの助けにしようと、(かぐや姫を)ほんのしばらくの間ということで(地上に)下したのだが、(翁は)長い年月の間に、多くの黄金を賜って、(まるで)生まれ変わったように(豊かに)なってしまっている。かぐや姫は、(月の世界で)罪をお作りになったので、こんなに賤しいおまえのところに、しばらくいらっしゃったのだ。(もはや)罪の償いのために下界に下った期間が終わったからこうして迎えるのに、翁は泣いたり嘆いたりするが、(かぐや姫を引き留めようというのは)できない相談だ。早く(かぐや姫を)お出し申せ。」と言う。翁が答えて申すには、「かぐや姫をご養育申し上げることは二十余年になりました。(今あなた様が)『ほんのしばらくの間』とおっしゃるので、疑問に思うようになりました。また別の所に、かぐや姫と申す方がいらっしゃるのでしょう。」と言う。(さらに続けて)「ここにいらっしゃるかぐや姫は、重い病気にかかっておいでなので、とても出ていらっしゃることはできないでしょう。」と申すと、その返事はなくて、(天人の王は)屋根の上に飛ぶ車を寄せて、「さあ、かぐや姫よ。(こんな)けがれた所に、どうして長くいらっしゃってよいものか。」と言う。(すると、かぐや姫を)閉じ込めてあった所〔塗籠〕の戸は、あっという間に、すっかり開いてしまった。(下ろしてあった)格子もみな、人は開けないのに開いた。嫗が抱いていたかぐや姫は、外に出て来た。とても留めることができそうにないので、(嫗は)ただ(かぐや姫の姿を)見上げて泣いている。  竹取の翁が心を乱して泣き伏している所に近寄って、かぐや姫が言うことに、「私のほうでも、心ならずもこうして帰って行くのですから、せめて(天に)昇るのだけでもお見送りなさってください。」と言うのだが、(翁は)「どうして、(こんなに)悲しいのに、お見送りなんかいたしましょう。私を(このあといったい)どうしろと言って、見捨てて(天に)お昇りになるのですか。一緒に連れていらしてください。」と言って、泣き伏しているので、(かぐや姫も)心が乱れてしまった。(かぐや姫は)「手紙を書き残して帰りましょう。(私のことが)恋しいような時々には、取り出して御覧ください。」と言って、泣きながら書く、その言葉は、 「(もし私が)この(地上の)国に生まれたというのでしたら、(きっとお二人を)お嘆かせ申し上げないときまでおそばにお仕えいたしましょう。(でも、そうではないので、こうして人間界にいる期間が)過ぎて別れてしまうことを、返す返すも、不本意に存じます。(せめて私が)脱いで残して置く着物を形見として御覧ください。月が出ている夜には、(私のいる月の都の方向を、そちらから)見おこしてください。(お二人を)お見捨て申し上げて帰って行く空からも、(悲しみのあまり)落ちてしまいそうな気持ちがしますわ。」 と書き置く。  (さて、)天人たちの中に持たせてある箱がある。(一つの箱には)天の羽衣が入っている。また(別の)ある箱には、不死の薬が入っている。一人の天人が言うには、「壺に入っているお薬をお飲みなさい。けがれた所の食べ物を召し上がったから、ご気分が悪いことでしょうよ。」と言って、(薬の壺を)持ってそばに寄ったので、(かぐや姫は)ほんの少しおなめになって、少々形見にと思って、脱いで残して置く着物に包もうとすると、そこにいる天人は包ませない。(もう一つの箱から)天の羽衣を取り出して(かぐや姫に)着せようとする。そのときに、かぐや姫は、「ちょっと待って。」と言う。「天の羽衣を着せられた人は、心が変わってしまうのだといいます。ひとこと言っておかなければならないことがあったのでしたよ。」と言って、手紙を書く。天人は、「遅い。」とじれったがりなさる。(一方)かぐや姫は、「ものの道理を解さないことを、おっしゃるな。」と言って、たいそう静かに、帝にお手紙を差し上げなさる。慌てない様子である。 「こんなふうに、大勢の人を派遣してくださって(私を)お引き留めなさいましたが、(拒むことを)許さない迎えが参って、(私を)召し連れて行ってしまうので、残念で悲しいことです。宮仕えせずじまいになりましたのも、こんな煩わしい身の上でございますから(なのです)。(そのわけを)合点がいかないとお思いになったことでしょうけれども、強情にご命令に従わないままになってしまいましたことを、無礼千万な女だとお心にお思いとどめになられてしまうことが、心にかかっております。」 と書いて、(最後に) 今はとて……今はこれまでと、天の羽衣を着るときになって、帝のことをしみじみと思い出したことですよ。 とよんで、(この手紙に)壺の薬を添えて、(勅使の)頭中将を呼び寄せて、(帝に)献上させる。中将に、天人が取り次いで伝える。中将が受け取ったところ、(天人がかぐや姫に)さっと天の羽衣を着せかけ申し上げたので、(かぐや姫の心から)翁のことを、気の毒で、いとしいと思っておられた気持ちも消えてしまった。この羽衣を身につけた人は、もの思いが一切なくなってしまったので、(かぐや姫は何の悩みもなく)車に乗って、百人ほど天人を連れて、天に昇って行った。 日々の生活にhappyをプラスする|ハピタス